実行機能 ただ運動をしているだけでは?

Taranto Italy

ダンスサイエンスの授業で

面白い研究を紹介されました。

 

運動と実行機能の関連に

焦点を当てた

スポーツサイエンスと

心理学との共同研究。

 

身体を動かす事が

脳への影響があるとのお話は

皆さんなんとなくご存知かと思いますが

どのような運動をするかで

実行機能の効果に違いが少し出たようです。

 

実行機能って?

思考と行動の制御を行うプロセス。

前頭前野の働きと関連するらしいですよ。

 

目次

研究内容

研究の対象は

10~12歳のスイスの子供達181人

55%が女の子 45%が男の子

テストグループは3つ

A:運動をしなかったグループ

B:シンプルな有酸素運動(走るのみなど)を行なったグループ

C:ゲームを交えたチームでの運動を行なったグループ

 

調査も3種類

1:Updating(アップデーティング)

ワーキングメモリーとも言われます。

会話や読み書き、判断などに重要な役割を果たす。

学校で先生がお話をする際に多くの例を出されますね。

その中で理解することに一番必要な情報のみを

得るのが望ましい。

つまり必要ない事は忘れて、大事な事のみ

脳でアップデートできるか。

 

2:Shifting(シフティング)

同じゲームをしていてもタスクが違うことがありますね。

色が変わったら、または音が変わったら、選ぶ対象が違うなど。

例えば5匹の金魚が画面に表示される場合

赤い金魚の時は内側を

黄色の金魚の時は外側を選びゲームをする。

その際にどれだけ柔軟に違うタスクに対応できたのか。

 

3:Inhibition(インハビション)

こちらは邪魔を回避できるかのテスト。

授業中に友達から話しかけられて

邪魔をされても、どれだけ先生のお話を集中して理解できるか。

 

6週間続けた後に結果をまとめると

グループC(ゲームを交えたチームでの運動を行なったグループ)

が一番結果を伸ばしたようです。

つまり運動をすれば良いわけではなく

運動をする際に頭脳が動いていた方が効果がある。

特に顕著な結果が現れたのは

2の「Shifting」(シフティング)。

(Schmidt et al., 2015)

 *こちらの研究は下記を参照なさってください。

 

ダンサーとシフティング能力

 

私は科学者ではないので

自分の環境に置き換え

バレエやダンサーには

不可欠な能力ではないかなと思いました。

 

ダンサーは踊りながら

多くの事柄に反応しなければならない。

踊りながら音を聴き

周りとの距離感を取り

先生の注意を聞き

そしてもちろん躍らなければならない。

バレエを子供の頃から習っていると

なんとなく身に付く能力の1つかなと思いますが

ある意味すごい能力ですね…

 

違う観点から見ると

幼少期のバレエのクラスに

「Shifting」(シフティング)の能力が上がる

ゲームなどを取り入れるのは良いのかもしれませんね。

こちらの研究をした講師のMIrko先生は

ダンスを小学校の授業の一環に取り入れることに

意義を感じるかと

私達生徒に問いかけていました。

 

 

プロアスリートやダンサーの心理的な適応

 

以前、ダンサーの引退後をテーマにした授業で

プロアスリートやダンサーは転職の際に

新しい環境や仕事の内容に

早く適応ができるとのお話を聞きました。

ところが業務への適応はできるのですが

他の重要なポイント…

充実感が得られず

自尊心も保てず

ある意味心理的、精神的に

適応する事がうまくできない。

それが原因になり

一見うまく行ったように見えた転職が

実はものにならない…

 

少し自分

実は自分も同じでした。

転職を試み2年間正社員として

接客業(ホテル、レストラン)をしましたが

自分自身が存在している意義を見出せませんでした。

舞台へ戻りたいとは全く思わなかったのですが…

当時は何をすれば良いのかかなり迷い

何か勉強をして

新しいスキルをつけて…なども考え、

接客業をしながら

ジャイロトニック、ジャイロキネシスの

トレーナーへの転向も試みましたが

これも何か違う…との思いが拭えず…

 

そんな時に以前のダンサー仲間から

今のお仕事を依頼され

11年が経過しました。

 

深く考える時間もなく

疑問を抱えながら

無我夢中で走り抜けてきましたが

コロナ禍でロックダウン中に

考える時間ができた際に

やはり自分の疑問を

追求すべきなのではと考え

勉強を始めた所です。

 

人間は日常的に

予期しなかった

またはネガティヴ

かつ重要である結果に

説明や理由を求める傾向があるそうです。

(Haynes Stewart et al., 2011) *こちらの研究は下記を参照なさってください。

 

勉強すればするほど

なんて自分の行動が典型的なんだろうと

驚いています!

 

写真:タラント イタリア

 

Haynes Stewart,T.L., Clifton, R.A., Daniels, L.M. (2011). Attributional Retraining: reducing the likelihood of failure. Social Psychology of Education 14 (1).75–92. https://doi.org/10.1007/s11218-010-9130-2

Schmidt, M., Jäger, K., Egger, F., Roebers, C., & Conzelmann, A. (2015). Cognitively Engaging Chronic Physical Activity, But Not Aerobic Exercise, Affects Executive Functions in Primary School Children: A Group-Randomized Controlled Trial. Journal of Sport & Executive Psychology 37(6).575-591. https://doi.org/10.1123/jsep.2015-0069

 

 

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