育ちが見えるタブーな傾向と BEAUTIFUL MISTAKE

 

最近ダンサーさん達とお仕事をする際に

気になっていたこと。

 

リハーサル中に

ダンサーさん達から

多くの質問をされますが

彼らの質問のしかたから

ダンサーさん個々の

踊りに対するスタンスや

考え方が現れ

そこから

「育ち」が見え隠れする気がします。

 

今回の「育ち」は

バレエスクール

ダンスアカデミー

またはご家庭

という「環境」において

どのような教えを受けてきたのか

という意味です。

 

ダンスサイエンスの

心理分野の授業での教えや

課題提出のために読んだ文献では

若いダンサーの教育や

クリエイティビティを育む際に

ほぼタブーと思われるタイプの傾向。

 

「間違えてはいけない」の意識

 

 

育ちが見える瞬間

ちょっと例を挙げてみます。

 

初めて学ぶソロ。

つまり皆同じラインに立っています。

振り付けを教えた後に

各自で繰り返しをしながら

振りを自分の頭と身体に染み込ませる

時間を少し与えます。

 

しばらくしてから

今日の課題を出します。

それは…

「フラストレーション」を表現して欲しい。

今のこの段階で

”一番大事なこと”と伝えます

 

物事が思ったように運ばずにイライラしたり

結果が出せずに自分に苛立っていたり

なんてイメージも説明。

すると…

 

1:よし!っと黙々と自分の表現と向き合う人

2:鏡の前で自分をチェックし続ける人

3:悩み込んで眉間にシワを寄せつつ、何か考えてる人

4:周りのダンサーを見て自分と同じかどうか確認し続ける人

5:全く心ここに在らずで、ぼやっとしている人

 

どのタイプのダンサーさんも必ずいます!

2と4のタイプのダンサーさん達は

メッセージが伝わっていないかな…。

私の説明の仕方が悪いのかもしれませんので

再度今日の課題の確認。

 

ちなみにこの段階で

各タイプのダンサーさんの1ヶ月後は

全く予想がつきませんので

どのダンサーさんのアプローチが良いとか悪いの判断は

ここではしません。(できません)

 

今日のテーマは4番さん

 

周りのダンサーを見て自分と同じかどうか確認し続ける人

 

自然と何かしらの質問が生じます。

 

例として、質問の内容は

腕の通り道としましょう。

 

さてここで質問の仕方です。

内容が同じでも

文脈が違うのです。

 

A:この腕はどこを通る?

B:この腕はどこを通るべき?

C:この腕こう?それともこう? (動きを見せながら…)

 

Cのダンサーさんが多いですね。

ダンサーですから、言葉より動きの人間です!

 

気になるのはBの質問の人

~でなくてはいけない」

「~すべき」

 

英語だと 

Have to / Must / Should 

のようなニュアンスの言葉

 

「間違えてはいけない」

「間違えたくない」

 

の意が聞こえてきます。

これがタブーです。

 

注)実はBの質問にも2タイプあり。

1番さんや3番さんが、ちょっと気になってという時には

声のトーンやボディランゲージがかなり違いその場合は問題ないです。

 

タブーである理由

さて「間違ってはいけない」思考が

なぜタブーなのかと言うと、

 

凝り固まった

「間違ってはいけない」思考が

邪魔してしまい

「個性」「主体性」

「クリエイティビティ・創造性」が

入ってくる隙間がない。

 

「個性」「主体性」「創造性」がない踊りを

全否定するわけではありません。

それらがない(要求されない)

美しい踊りもあると思います。

 

ただ

「個性」「主体性」「創造性」がない踊りは

すぐに忘れられてしまいます。

スルーです。

 

例えばオーディションで初めてみるダンサーさん達。

後から写真と名前を照らし合わせて…

これは誰?

振付家さん覚えていません…

 

コンクールで同じソロを

40人踊るとしたら…

印象を残さないダンサーの踊りを

審査員は覚えていません。

 

間違いや失敗が

問題にならないコンクールでは

ローザンヌが有名ですね。

ダンサーの才能と資質重視の採点。

「個性」「主体性」「創造性」は

ダンサーの才能と資質に

大きな割合を占めると思います。

 

その上間違いや失敗を恐れているときに

良い踊りができるか?

と考えると…どうしても

ベストは出ないと思います。

 

間違いや失敗を恐れていると

筋肉も固くなります。

体が思ったように 

いつものように動けません。

 

恐れがある場合には

精神的なダメージも生じかねません。

これが一番の問題だと思いますが

残念ながら深いお話を書けるほどの

知識を持っていません…。

 

「間違い」って何?

「間違い」という言葉の定義で

素敵なものがありました。

 

An action, decision, or judgment 

that produces an unwanted or 

unintentional result:

望ましくない

または意図しない結果をもたらす

行動、決定、または判断:

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/mistake

 

この定義の「意図しない」が好きです。

リハーサル中の「間違い」って

「意図しない」事がほとんどだと思います。

 

「望ましくない」ももちろんですが

その間違いから生まれる結果次第で

「望ましい」にもなり得ます

 

間違えるから

うまくいかないから

失敗したから

 

間違えないように

うまくいくように

失敗しないように

 

考える

解決法を見つける

練習する

 

学んでいる過程としては

これらの全てがポジティブですよね。

 

残念ながら

教育機関

バレエ学校

ご家庭でも

間違えると

うまくいかないと

失敗すると

 

怒られる

見下される

評価されない

役がつかない

という結果に結びついてしまう

「育ち」をしてきた

ダンサーさん達もいます。

 

伸びしろがある

自由な表現やクリエイティビティ

成長することや

模索することへの楽しみ

奪われてしまったのかなぁと

感じてしまいます。

 

”BEAUTIFUL MISTAKE” 素敵な間違い!

バレエもアートの世界

全てが黒白の答えでないことも多いし…

若いダンサーさん達が

学んでいる段階で

ダンスアカデミーや

バレエ学校の最終学年だったり

ジュニアカンパニーだったりしたら

どんどん間違えるべき!

買ってでもその経験をするべきです。

 

プロになってからでは

間違いや失敗は…

難しくなる可能性があるからです。

 

でも「可能性がある」だけ。

間違いが好まれない環境も

多くあると思います。

コールドバレエでの間違いや

失敗は確かに推奨できません。

…が

 

思いがけないアクシデントから

生まれるクリエイティビティも多く

好む振付家さん達もたくさんいます。

 

私のボスCayetano Soto 

(カィェターノ・ソト)はそれを

”BEAUTIFUL MISTAKE” と呼びます。

 

つまり「間違い」だと自分で思ったことが

振付家さんには「Beautiful」で

素晴らしいと見える。

 

「間違い」や「失敗」

主観である場合も多いです。

 

私自身も昔は4番の人でした。

周りのダンサーを見て

自分と同じかどうか確認し続け

違いを見つけては不安になっていました。

 

質問なんてできないタイプで

キョロキョロしながら

迷っていましたから

Bの質問ができるタイプの人達は

まだ健全でしょうか。

 

もちろん個性のあふれるソロは

その頃は踊れませんでしたし

個性や創造性などという言葉は

理解ができませんでした。

間違いも失敗も恐れていました。

そのおかげで

どれだけ今までに損をしたのか

後悔しているのか

語りきれないです。

 

 

安全圏は脱出しよう!

「間違い」や「失敗」を恐れて

リスクも負わずに

安全圏で踊っていると…

とても多くの意味で損をします。

 

多くのディレクターや

振付家さん達は

初めて学んだソロに

完璧を求めてもいないし

初日に完璧はありえないし

そもそも完璧なんて…たどり着けますか?

 

しかもソロ

他人と同じである必要もない!

 

才能あふれるダンサーが

山のようにいる状況で

輝くために

ぜひ「間違いてはいけない」思考

捨てて下さい。

 

ダンスサイエンスの話題らしくない

ストーリーになってしましました。

固いお話は続編にしますね。

写真:ドイツ、ザクセン州、車窓より

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