「自信を持って」は受け入れ難い?

サグラダファミリア、バルセロナ、スペイン

写真:サグラダファミリア、バルセロナ、スペイン

 

「自信が持てない」と

若いダンサーの卵さんに

相談を持ちかけられました

いつもとても熱心で

優秀、

容姿も淡麗で…

どうしてぇ?

と不思議になりますが…。

 

考えていたら

去年のダンスサイエンスの授業での

お話の思い出しにも繋がり

文章にしてみました。

 

元々の始まりは

「踊るときに

余分な力が入ってしまう」

の相談から…。

 

少し前から時々指導させていただく機会のある

バレリーナの卵さん。

確かに動きがもう少し滑らかになれそうな感じがあります。

テクニック的にもそれなりに安定しているので

観ていて不安はないのですが

何か吹っ切れないのかな?という印象。

 

舞台上では華があり

去年ソリストの役を踊っていたのを

拝見していますが、

「余分な力が入る」という課題は

気にならないほどの優美さがある。

 

今年はパドドゥを踊るようで

アダージョのパートを男性不在で

ポードブラや上半身のみでの

マーキングしているのを見ていると

何らかの問題もあるように見えない…。

つまり「滑らかに踊る」感覚は持ち合わせている。

 

…となると下半身、腰+脚&足の動きに不自然さが残るのかな?

と思い自分のクラス(コンテンポラリー)やリハーサル中の彼女を思い出すと

多分そう…。

 

さて「余分な力が入る」

と相談されて

まずテクニカルな部分の分析。

もちろんプリエだとか

足の裏と床の使い方とか

筋肉の使い方のイメージだとか

呼吸だとか

色々とありますね…。

 

普段から常に見ている

生徒さんではありませんので

とりあえず

「こんな考え方があるよ~」

といくつかご紹介。

なるほど感はあったようで

笑顔で帰って行きました。

 

でも何だか違う気がして

しっくりこないなと

考えているとピンときました。

 

彼女の態度です。

常にあまり自信がなさそう。

 

次の機会に今度は私から彼女へ

クラスの後に

アプローチをしてみました。

「余分な力が入る」は

「自信がない」からじゃないかな?…と。

 

さて彼女の反応は…

困った顔と

大きな溜息。

 

「自信持てません。

色々とできていない事がわかり

それらをどう解決していき、

どう自信に繋げたら良いのか…」

 

色々とできていない事がわかる”

「できていない」には

自分には「できる」ようになる能力を持ち合わせていないと思うことと

「今はまだできていない」と感じることで違いがありますが、

私が彼女と話していて感じたのは、どうもその中間あたり。

できるのではないかと思っている。

まだ希望は持っているけれでも

思うような結果が出ていないために、

周りからの評価が伴わない。

 

ダンスサイエンスで学んだあるセオリーを思い出しました。

能力が足りないは英語で 

”Incompetence”

 

こちらはある文献をもとにまとめた文章になりますが

Perry & Hamm, (2017) portray competence as a psychological entity and depicted as path sequences. Competence appraisals (competent, incompetent) as resulting from causes ascribed to failure and success: outcome-causal attribution-cognition (competence appraisal)-affect-motivation-performance.

失敗や成功に帰属する原因から生じる能力評価(有能、無能):

結果→原因帰属→認知(能力評価→効果→動機づけ→パフォーマンス 

 

訳がわからないので(!)

砕きます。

 

能力の評価は今までに経験した失敗や成功に基づいてがなされる事が多いですね。

その今までの経験を

 

結果:”outcome”とし

原因帰属:”causal attribution”

その理由づけ

認知(能力評価):

”cognition (competence appraisal)” 

自己や周りの評価

効果、影響:”affect” 

それが心理的にどう影響するか

モーティベーション:”motivation” 

わかりますね…

行動、結果:”performance” 

行動にどう影響するか

 

彼女の場合を想定すると

おそらく

「できていない」と言われ、

今まで…

 

結果:踊りが固くなった

原因帰属:努力してもできない

能力が足りない?まだできないだけ?

認知:成果がないと感じている、認識する

影響:自信をなくす

モーティベーションは保てていました。(良かった!)

行動、結果:

余計な力が入る、緊張した態度が出る

 

かな…と思います。

まだまだ私の知識は未熟ですので、

間違っているかもしれませんが…。

 

先ほど「できていない」には

自分には「できる」ようになる能力を持ち合わせていないと思うことと

能力はあるけれでも「今はまだできていない」と感じることで違いがあると書きましたが

推奨されるのはもちろん後者で

Growth Mindset 

グロゥスマインドセット。

 

生徒さん達はまだ学びの過程にあり

できていなくて当たり前。

踊りに力が入り、

固くなってしまうのであれば

少しづつ色々なアプローチを試してみて

(多すぎるのも問題ですが

自分には何が合うのか?

わかりやすいのか?

バレエを踊り続ける限り

完璧はあり得ないし

数ヶ月の間で周りから

「力が抜けたわね!」

の評価は…

おそらくないだろう(!)と考え

今回はどのくらい解決できそう?

前より少しでも良くなったと

褒められたら大成功なのでは?

少し自分の前にある

ハードルやゴールを下げて

今できなくても

成果が少しでもあれば良し。

 

彼女の顔に少し笑顔が戻りました。

 

自信という言葉を日本では

「おこがましい」

と感じられがちだと思います。

 

彼女にとっても

「自信を持って」

のメッセージは難しい。

受け入れ難い。

 

でも自分を信じて

自分の持っている能力を信じて

いつかはできると考える

はできる…そう。

根本にある部分は同じだけど、

言葉の響きでしょうか?

重みでしょうか?

 

私が感じている

彼女の素敵な部分

「優美で舞台上で華がある」

これはなかなか学べる物ではないよ

と伝えると

「へぇ〜」

と心底驚いた顔をし、

いい笑顔で帰ってくれました。

 

彼女の本番は残念ながら

見れないけれでも

遠くから応援しようと思います。

 

Perry, R., & Hamm, J. (2017). An attribution perspective on competence and motivation: Theory and treatment interventions. In A. J. Elliot, C. S. Dweck, & D. S. Yeager (Eds.), Handbook of competence and motivation: Theory and application (2nd ed., pp 61–84). The Guilford Press 

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